集中不等式(Bernstein's Inequality)を証明する
本記事は以下の過去記事で得た結果を用います.
いくつかの集中不等式(Hoeffding's Inequalityなど)を証明する - エンジニアを目指す浪人のブログ
本記事では,集中不等式(concentration inequality)の一つである Bernstein's inequality を(一部分を除いて)証明します.文献[1]をベースにしてまとめます.
準備をします.
本記事では(確率論における)コーシーシュワルツの不等式を証明なしで用います(たとえば文献[3]にあります).
補題 : コーシーシュワルツの不等式
は が存在するような確率変数とする.このとき以下が成り立つ.
本記事の目的に進みます.
冒頭の過去記事にある Hoeffding's Inequality は確率分布についての情報を用いません.Bernstein's inequality はよりきつくバウンドする(抑える)ために確率分布の分散を用います.以下の命題と証明は,文献[1] Theorem 6をほぼ引用したものです.
定理 6. (Bernstein's inequality)
を となる互いに独立な確率変数で,確率1で を満たすとする. とする.すべての について以下が成り立つ.
証明.冒頭の過去記事の定理1.の証明.の冒頭と同様に Chernoff bound を用いて以下を得る(本記事に合わせて記号を変更しています).
(0)
とおいて以下の関係式を得る.
(1)
について以下を得る.
コーシーシュワルツの不等式
コーシーシュワルツの不等式
コーシーシュワルツの不等式
コーシーシュワルツの不等式を繰り返し用いる
(2)
について以下を得る. とする.このように定義する
(2)
(3)
テイラー展開 を利用して以下を得る.
テイラー展開
(3)
これと(0)と より以下を得る.
(1)
(4)
関数 を以下のように定義し最小値をとる を求める.したがって
となる を求めればよい.
したがって の最小値は以下である.
(5)
関数 を以下のように定義する.
以下が成り立つ(ここでは証明なしで認めます...).
(6)
(4)(5)より
(6)最後に とおきかえると
を得る.(証明終わり)
以上,集中不等式の一つである Bernstein's inequality を(一部分を除いて)証明しました.
参考文献
[1] Cornell University Karthik Sridharan先生のノート https://www.cs.cornell.edu/~sridharan/concentration.pdf
[2] New York University Afonso S. Bandeira先生のノート http://math.mit.edu/~bandeira/2015_18.S096_4_Concentration_Inequalities.pdf
[3] The University of Hong Kong Dong Fanghu Joseph先生のノート http://web.hku.hk/~jdong/new/work/teaching/stat1301/t7/proofs_corr.pdf