本記事は前回の記事の続きです.前回の記事で用いた記号を説明なしで用います.
ディリクレ過程の定義を考えるその1 (ディリクレ過程の定義を調べる) - エンジニアを目指す浪人のブログ
それでは,ランダムな確率測度とはどのようなものでしょうか.確率空間が設定されていないこともありわかりにくいのですが,確率過程の枠組みで説明できます.ここでは過去記事で示した確率過程の定義を使います.
(1.1) 定義.
を集合,
を可測空間とする.
で添字づけられる
に値をとる確率過程とは,確率空間
から
への可測写像の族
のことである.空間
を状態空間という.
ディリクレ過程を考えるには,以下の置き換えをすればよさそうです. =
=
=
=
=
すると以下のような文章ができあがります.
-------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------集合体
,可測空間
があるとする.ディリクレ過程は,
で添字づけられる
に値をとる確率過程であり,確率空間
から
への可測写像の族
である.つまり以下を満たす.
------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
ランダムな確率測度 がどのようなものか見えてきました.説明を加えます.
(a) を固定すると,
は確率変数である.つまり(固定された)集合
を測る確率測度
は どの
を選ぶかに依存する.
(b) を固定すると,
は(確定的な)確率測度であり,
である.これはサンプルパス(sample pass)である.応用上よく目にする確率過程のサンプルパスは時間に依存する関数であるが,ディリクレ過程は測る集合に依存する関数である.
以上,ランダムな確率測度とはなにか,どのような設定に基づくものであるか,について確率過程の定義を用いて考えてみました.次の記事ではディリクレ過程からのサンプリングについて考えてみます.