一様収束する関数列はリーマン-スティルチェス積分と極限操作が交換可能であることを証明する
勉強を進めていて,関数列の積分と極限操作の交換がどのような場合に成り立つか,についてモヤモヤしてしまったので,リーマン-スティルチェス積分(あるいはリーマン積分)の場合にどうなるか調べることにしました.
よく知られていることと思いますが,結論は「被積分関数の関数列が一様収束するならばリーマン-スティルチェス積分(リーマン積分)と極限操作が交換可能である」です.以下ではこの事実に関する定理と証明を紹介したいと思います.
Rudin(1976)から引用します. は(過去記事Definition6.2より) がリーマン-スティルチェス可積分であることを意味します.
7.16 Theorem Let be monotonically increasing on . Suppose on , for , and suppose uniformly on . Then on , and
(23) .
(The existence of the limit is part of the conclusion.)
一様収束するならば各点収束するので,過去記事Definition7.1の記法(1)を用いれば,(23)は以下のように書くこともできます.
(23)'
この定理は,ルベーグ-スティルチェス可積分な関数列の一様収束極限はまたルベーグ-スティルチェス可積分であることと,そのとき積分と極限操作が交換可能であることを主張しています.以下でこの定理を証明します.Rudin(1976)の証明を和訳し説明を加えています.
証明.
(過去記事Definition6.2より)実数値の について証明すれば十分である. とおくと より
である.これと と,さらに は 上で単調増加関数であることから過去記事Definition6.2の上積分と下積分の定義(5),(6)が使えて以下を得る.
(25) .
したがって
を得る. が に一様収束するので(過去記事Theorem7.9より) なので
となり が示せた.またこの結果より(25)は
(25)'
となり,これより
,
.
ここで再び を用いると(23)を得る.(証明終わり)
以上,一様収束する関数列はリーマン-スティルチェス積分と極限操作が交換可能であることについての定理と証明を紹介しました.なお,よく知られているように,連続関数の(関数列の)一様収束極限は連続関数であり,また連続関数はリーマン-スティルチェス可積分です.これらの事実を用いれば, が連続関数のときは定理の前半部分 をただちに示せると思われます.
参考文献
[1] Rudin, W. (1976), Principles of Mathmatical Analysis (Third Edition), McGraw-Hill.