集積点,閉包,稠密,可分の定義をメモする
位相を用いている教科書を読んでいると,集積点(accumulation point),閉包(closure),稠密(dense),可分(separable),などの概念を目にすることがあります.それらの定義をよく覚えておらずいつもモヤモヤしてしまうのですが,Kreyszig(1989)(関数解析の教科書であり,位相の教科書ではありません)の記述がわかりやすかったのでメモすることにしました.
本題に入る前に,開球(open ball),閉球(closed ball),近傍(neighborhood)の定義を示します.距離空間 は与えられているものとします.Kreyszig(1989)から引用します(2つ目の引用は和訳しています).
1.3-1 Definition (Ball and sphere). Given a point and a real number , we define three types of sets:
(a) (Open ball)
(1) (b) (Closed ball)
(c) (Sphere)
In all three cases, is called the center and the radius. ▮
半径 の開球 は の -近傍という(ここで定義1.3-1より である). の近傍とは, の -近傍を含む の任意の部分集合を意味する.
本題に進みます.集積点,閉包,稠密,可分の定義をKreyszig(1989)から引用します(和訳しています).
を距離空間 の部分集合とする. ( に含まれていても含まれていなくてもよい)のあらゆる近傍が, ではない少なくとも一つの点 を含むとき, を の集積点という. の点と の集積点からなる集合を の閉包といい, と書く.これは を含む最小の閉集合である.
の閉包 は, に集積点を付け加えたものであり,またそれは閉集合であるということです.先に進みます.
1.3-5 定義 (稠密集合,可分空間).
距離空間 とその部分集合 が を満たすとき, を稠密という. が可算な稠密部分集合をもつとき,可分という. ▮が において可分のとき, に含まれるあらゆる球は,それがどんなに小さくても, の点を含む;この場合, の点を含まない近傍を持つ点 は存在しない.
以上,集積点,閉包,稠密,(距離空間における)可分の定義をメモしました.可分の定義については,以下の記事も参考になると思います.またKreyszig(1989)には,可分距離空間と可分でない距離空間のExamplesがあわせて5つ載っており,そちらも併せて読むと理解が深まります.
可分距離空間についてすこし考える - エンジニアを目指す浪人のブログ
参考文献
[1] Kreyszig, E. (1989), Introductory Functional Analysis with Applications, Wiley.